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制服を脱ごうとスカートを下ろしたら、なにかが太ももに当たった。ポケットに手を突っ込んで引っ張りだしてみると、それは、口紅だったのだ。
メイクなんてしたこともないあたしのポケットに、なんで、口紅なんかが?
それに、学校に行っている間は、気がつかなかった。
姉ちゃんの仕業じゃないかと聞いてみたが、瑠佳にそんなことするわけないでしょ、と言われるだけだった。
どうしよう。
気になる。
つけてみたい。
中身を見たら新品だったから、ますます気になる。金色に輝く蓋とサーモンピンクのルージュが、つけてみてよ、と、あたしを誘うのだ。