教室に入ると、既に数人の女生徒が談笑していた。
私たちが教室に入るなり、彼女たちの会話が途切れ、速足でこちらに寄ってくる。
もちろん、彼女たちの目的はゆきなちゃんだ。
「おはよう、ゆきな!」
「宿題やったー?」
「昨日のドラマ見た?」
一斉にゆきなちゃんを取り囲んで、私になんて見向きもしてくれない。まあ、もう馴れてきたけどね、こんな扱い。
私は邪魔者だ、早くかばんを置いてトイレにでも行こうか。
女生徒たちの横をすり抜けて教室に入ろうとすると、突然ゆきなちゃんに腕をつかまれた。
「あれ、なんで行っちゃうの?」
「え、いや、あの……」
私は戸惑いを隠しきれず、しどろもどろになってしまう。ああ、どうしよう。絶対変に思われてる…。