「バッカかお前ー!?」
今日も小さな学生寮に威勢の声が響き渡る。
「今日は今日でとんでもねぇもん持って帰ってきやがったなぁ!ったく、うちの何処に猫7匹飼えるお金があるってんだよ!」
雨でぐっしょぐしょになった彼女を抱えている猫ごと大判のタオルでわしわし拭きながらも彼はそう怒鳴った。
「だって…雨に濡れてて可哀想だったんだもん…」
彼女は、反省の色を一ミリも見せず抱えているまだらの猫を撫でる。
「だってもクソもあるか!罰として、一週間風呂掃除の刑だかんな!」
ええー、と彼を非難しつつもそれに従う彼女を見て猫は「にゃー」と平和そうにひと鳴きした。