『 __現在地震が起こりました、住民の皆様は直ちに避難を__』
ニュースキャスターが慌てて繰り返す言葉を、僕は電源を切って遮った。
住民、なんて言葉ば富裕層にしか関係ない。
だって僕は、作られた人間、所謂人造人間だから。
人造の心臓に臓物に脳味噌にシナプス。こんな『物』に人権なんてないらしい。
富裕層に従い襤褸切れとなり死に、臓器は再利用され肥料になり、富裕層の食糧となる、このようなサイクルがざっと250年近く続いている。
僕は地下の小部屋に住んでいるが、僕一人ではない、僕と同じ人造の少女が居る。
少女は所謂 “欠陥品” で、メラニンが欠陥しているらしく、光を好まない。
ろくに名前も知らずに、話さずに、今まで過ごしてきた。
最初は言葉を話せないのか、なんて思ったりもしたが、どうやらいつも持ち歩いている今の時代には珍しい紙の本をぶつぶつと稀に小さな声で読み上げているため、きっと話せるのだろう。
話したくないだけだ、関わりたくないだけ。
人は関わるのを徐々に嫌っていった、出生率は極端に下がった。
だから人造人間が出来た。
僕は少しカビ臭いベットに埃を立てながらも倒れ、薄っぺらい毛布を被って瓦礫の音をずっと聞いていた。