毛布越しに聞こえる瓦礫音が強くなった。
刹那、小部屋に光が差し込む、どうやらビルが崩れ、小部屋に巨大な瓦礫が落ちてきたようだ。
僕は無意識のうちに急いで少女の方をみた。
ベットの隅で、蝙蝠傘と本を抱えて蹲っている。
『 逃げるぞ、きっとここも崩れる 』
少女の細く白い手首を掴み、軋むドアを開け、走り出す。
落ちた電球に、割れたガラス。全てが壊れていた。
やっと外に出られた、そう思いドアを開けた瞬間、あり得ない光景が飛び込んできた。
家の中とは比べ物にもならない景色__ビルは倒れて、焼け落ち、人々は叫ぶ。
燃える建物を避けながらも、走る、行く宛てなどなくたって、走り続ける。
地鳴りが一層酷くなり、人が焼ける匂いと悲鳴が混ざり合う中、少女は凛と、鈴が鳴るような声で僕に言った。