【prologue】
ある晴れた日の午後2時頃、太陽が作る木の影の下では1人の少女がカメラを覗き込んでいた。
少女はレンズ越しに見えた"白うさぎ"の存在に気づき、シャッターを切った。
「……ねぇ、おいでよ?」
「言葉を話すうさぎ……さん……?」
頭上の木の葉は、風でザァッと音をたてた。
少女は言葉を話すうさぎに興味を抱いた。そして、そのうさぎをじっと見つめた。
「……やはり忘れているのか……還っておいで」
『還っておいで』その言葉が少女の耳に届くことはなかった。そして、少女はうさぎの持つ懐中時計を見ると同時に気を失い、バタンと倒れてしまった。
そして、目覚めた少女は記憶を失っていた。