1.悪夢
女の子が、もう1人の女性に手をかざす。
「あなたもこうされたいの?」
数秒前まで横にいた男性は、跡形も無く消え去っている。
「やめてあげてよ!」
私は叫んだが、彼女には届いていないようだ。
「ほら、3、2、」
「お嬢様っ!おゆるしくだ……」
「1。」
最後の言葉も言えずに、女の人はフッと消えた。
「だれか、いるわよね?」
女の子の高い位置で二つに結った髪がふわりと揺れ、瞳は何かをとらえようとしている。
ーー次は、私なんだーー