>>9書き直します。
「で、取材は決定で良いんだよね?」
松下君、ナイス!
さすが局長。
デリカシーは無くても、こういう所では役に立つ。
局長に相応しいね。
「もちろんっ!」
「当たり前じゃんっ!」
玲と榑林の声が重なる。
もう、なんだかんだ言って仲が良いんだから。
二人は照れたみたいで、そっぽを向いた。
「あ、雅だ。」
松下君が、少し先を歩いている雅ちゃんを見た。
あっ、本当だ。
私は雅ちゃん目掛けて坂を下りながら叫んだ。
「雅ちゃーん!」
雅ちゃんの近くにいる『あの人』には気付かずに。
「あれ、何やってんのあんた。」
私はその声にビクッとして立ち止まった。
恐る恐る、雅ちゃんの少し前に立っている『あの人』に目を向けた。
「まだ新聞なんか本気で書いてんの?」
そう私を嘲笑ったのは、原川優衣。
あぁ、そうだったんだっけ。
雅ちゃんは優衣と仲が良かったんだ……。
なんで私、バカみたいに近づいて。
「遥、大丈夫?気にしなくて良いんだよ?」
玲は訳を知っている。
私だって、死ぬほど知っている。
だけど私はそっちに怒っているんじゃない。
この人に会ったから怒っているんじゃない。
『新聞をバカにした』から。
私たちで作り上げた新聞を。
「皆、雅ちゃんに速く記事の事話そうよ!」
玲、ありがとう。
「お、おう。えっと新聞の記事で今度、警察署に取材に行くんだ。」
松下君も榑林も、なんだかよくわからないらしかった。
そりゃあそうだ。
話してないんだから。
「面白そう!良いんじゃない?」
雅ちゃんは私の方を気にかけながらも、楽しそうにしてくれた。
優衣は、話に入れなくてイライラしている。
「このままうまく終わらせよう!」
玲が私に耳打ちした。
まって、このままで良いの?
新聞をバカにしたあの人を、放っておいて。
「ねぇ、原川さん。さっき、言ったよね。新聞なんか本気で書いてんの?って。
笑ったよね?」
優衣はニヤッと口元を緩ませる。
「言ったけど?それに笑ったよ?なんかおかしい?だって、5年生にもなって新聞に
本気になるとかおかしいじゃん。」
私の中の何かがカチンと来た。
「人をいじめて楽しむあんたにはわかんないだろうけどね。新聞を楽しみに
してくれてる人がいるんだよ?だったら本気になったっておかしくないでしょ。」
優衣が固まった。
皆もだった。
「え?いじめって……、原川が?」
榑林はすぐに私を見た。
「原川が……、遥をいじめたってこと?」
松下君は理解が早い。
「そうだよ。原川さんは私をいじめてた。」
途端、優衣が逃げ出しそうになる。
「なんで、それを言うの……?もう、嫌だっ!」
優衣は逃げる様に坂を下って行った。
「ゆ、優衣ちゃんっ!」
雅ちゃんが思わず追いかけそうになる。
けれど、止まった。
「優衣ちゃんにそんな過去があったなんて……。」