美音です。
新しい小説書きます。
面白くないと思うし、文才無いので文がおかしくなると
思いますが感想&アドバイス(辛口ok)お願いします!
登場人物
河本 遥
(かわもと はるか)
5年2組新聞係の一員。
活発な性格で、勉強が得意。
思ったことはすぐに口に出すタイプ。
松下 慶
(まつした けい)
5年2組新聞係の局長。
勉強も運動もできる秀才。
デリカシーに欠けている。
武田 雅
(たけだ みやび)
5年2組新聞係の一員。
勉強が得意で、手先が器用。
おっとりしていて優しい。
倉島 玲
(くらしま れい)
5年2組新聞係の一員。
遥の親友。
辞書を読破した経験があり、色々な言葉を知っている。
榑林 航
(くればやし わたる)
5年2組新聞係の一員。
ふざけるのが好きな性格。
勉強は得意。
小説スタート
「局長っ〜!」
通り風が廊下の掲示物をハラハラと舞い上がる。
その中を走り抜ける私を、色々な学年の子が口をあんぐりと開けて見ている。
普通の子だったら恥ずかしいだろう。
でも私は周りの目など気にする場合では無かった。
だって!
新聞の記事が見つかったんだもんっ!
5年2組に走り込み、うちのクラスの新聞係の局長、松下君の机にバンッと手をつく。
「ネタ見つけたよ!」
本を読んでいた松下君は、少しビクッとする。
「遥〜、目立ち過ぎだって。ちょっとは周り気にしなよ。もう5年だろ。」
答えたのは松下君では無く、新聞係の一員、おふざけ男子の榑林。
私は腹が立って榑林を睨む。
「だってとびっきりの奴だもん!周りの目なんか気にしてられない。」
松下君がようやく口を開く。
「で、遥。そのとびっきりな奴ってどういう奴?」
待ってましたっ!
私はニンマリとして口を開ける。
「2年生がね、老人ホームに遊びに行ったんだって。2年生の先生に記事を書いて
くれたら学校便りに載せるって言ってくれたの!これは新聞係の革命だよっ!」
それを聞いて、雅ちゃんと玲も駆け寄ってくる。
4人とも、興奮で顔がほんのり紅潮していた。
雅ちゃんが微笑む。
「遥ちゃん、すごいね!」
榑林も珍しく本気の顔。
「やったな!」
玲も手を叩く。
「遥、よくやった!」
松下君が拳を突き出す。
「新聞係の革命っ!」
革命っ!
私たちも拳を突き合わせた。
早速、松下君が先生に報告する。
「先生、僕たち新聞係の記事が、学校便りに載ることになりました!」
先生は一瞬、固まった。
多分、松下君の言っている事にびっくりして、とっさの反応に困ったんだと思う。
「学校便り……?って、本当!?あなたたちの新聞が学校便りに?」
先生の頭は『?』だらけらしい。
「それじゃあ僕たち、取材に行くんで!」
私たちは張りきって2年生の教室に向かった。
「失礼します。えっと、5年2組新聞係です。記事の写真の提供とインタビューに来ました。」
私が胸を張って言うと、2年生の子たちが飛びついてきた。
「インタビュー?」
「新聞だって!」
「すごいね!」
私たちは思わず微笑み合う。
そこに先生がやってきた。
「あぁ、どうもどうも。写真はここにあるよ。インタビューを受けるのはこの二人。」
先生が指を指した先には、男の子と女の子な一人ずつ、緊張した顔つきで立っていた。
「じゃあ、ちょっとお話聞いても良いかな?名前をまず言ってね。」
弟と妹がいる雅ちゃんが、慣れた感じで手招きする。
「えっと……、笹本要(ささもとかなめ)です。」
まず口を開いたのは、男の子だった。
「要君ね。老人ホームに行ってみて、どうだった?」
ノートを準備しながら、私は優しく聞く。
私の家には、4歳上の星菜(ほしな)お姉ちゃんしかいないからよくわからなかったんだけど、ね。
要君は、つっかえながらもいろいろな事を話してくれた。
「わ、私は橋本香音(はしもとかのん)です。」
次に女の子の方も口を開いた。
「香音ちゃんね。老人ホーム、どうだったか教えてくれる?」
香音ちゃんは頷きながら言ってくれた。
そして、今は教室への帰り途中。
「まぁ、こんなもんかぁ。」
私はノートの取材内容をメモしたページをパラパラとめくる。
「遥、おまえの取材中の顔すごかった。超強張ってた、笑顔引きつってた。」
松下君が私を見る。
本当、うちの局長はデリカシーに欠け過ぎている。
女子の前では言っちゃダメでしょ、そういうこと。
榑林がヘラヘラ笑う。
「わかるわかる。正直あれはやばかったよ。雅にしといた方がよかったんじゃね?」
全く、うちの新聞係の男子共は……。
どいつもこいつも煩いなぁ!
でも、楽しかった。
皆といれるのが嬉しかった。
5年生も、後5ヶ月。
まぁ、来年も同じクラスなんだけど。
このメンバーで、新聞係ができるって言うのは、すごく楽しいこと。
「は、る、か!ちょっと、大丈夫?」
気付けば、玲が私を覗き込んでいた。
「ん?あぁ、なんでもないよ。」
雅ちゃんも心配そうに見ていた。
「あの二人が変なこと言ったからだよね。全然大丈夫だったよ、遥ちゃんお姉ちゃん
っぽかった!」
雅ちゃんが天使に見えた。
男子からああだこうだ言われた後、そんなことを言われると、雅ちゃんは天使と同じ
存在。
さすがお姉ちゃん!
「って、もう昼休み終わるよ!?急がないと、次理科の実験だし………。」
玲が今すぐにでも走り出す陸上選手のような格好をしながら言った。
時計を見ると、昼休み終了のチャイムが鳴るまで後1分程。
「やばっ、こっから遠いのに………。」
私たちは既に走り出している。
『廊下は走らない!』という児童会のポスターの横を。
私たちはなんとか間に合い、教科書を準備して理科室に向かった。
*
「じゃ遥、記事書いてきて。」
松下君に言われ、私は頷く。
やったぁ、記事が書ける!
「で……、コラムの所の小説の続きって、航だよな?」
松下君が榑林を見る。
「待ってましたっ!よっしゃあ、小説もいよいよクライマックスだぜ!」
そういえば、この『魔法使いと僕たちの不思議な紀行』という何とも平凡すぎる
小説は、榑林が考えたものであった。
私たちは大反対だったのだが、榑林は皆の意見など一言も聞かず、強引に押しきった。
「んで……、玲が学級会。雅がアンケートの結果についての記事、俺がインタビューに
ついての記事、か……。」
うん、そうだね。
「じゃ、今週末までに清書って事で良い?」
ん、良いんじゃないかな!
「じゃ、今日は解散ー!」
私たちはランドセルをしょって教室を出た。
「玲、一緒に帰ろー!」
私は玲と一緒に登下校の道を歩く。
「来週はどんな記事書くんだろうね。」
私は何となく呟く。
気付けば私たちは、新聞の事でいつも盛り上がるのであった。
玲が思いついたように手を叩く。
「あ、あれはどうかな。今、不審者がすごい出没してるらしいじゃん。それで
警察署に取材に行くとかありじゃない?」
あぁ、良いかも!
「局長に提案してみよう!」
私は少し先に榑林と歩いている松下君を指差す。
「良いね!行こう、行こう!」
玲が走り出す。
私も後に続いた。
「局長っ!」
玲が松下君の横で急ブレーキをかける。
「なんだよおまえら、記事の話なら終わったろ。」
榑林が玲を睨んだ。
「ふん、なんにも考えてないあんたなんかにはわかんないわよ!私は局長に提案しに
来たの!」
玲が憤慨しながら腰に手を当てる。
「まあまあ、で、提案って?」
松下君に聞かれ、私は応える。
「今、この辺で不審者が出没してるって知ってるでしょ。それについて、警察署に
取材に行くのはどうかなって。」
松下君と榑林の顔が活気づいていく。
「名案じゃん、それっ!」
玲と睨み合っていた榑林が、嬉しそうに言った。
「また革命だな。」
松下君もわくわくしている様だった。
「全く、榑林と来たらさっきまでバカにしてた癖して、何飛び上がってんの?」
玲がすかさず口を挟んだ。
「だから、勘違いしてただけなんだよ。」
榑林も負けじと言う。
玲の顔が怒りで紅くなっていくのがわかる。
「にしては態度が急変しすぎでしょ。」
確かに……。
+登場人物
原川 優衣
(はらかわ ゆい)
去年まで、遥をいじめていた。
雅と仲が良いが、無理矢理親友にした。
きつい性格。
「で、取材は決定で良いんだよね?」
松下君、ナイス!
さすが局長!
「もちろんっ!」
「当たり前じゃん!」
玲と榑林の声が重なる。
もう、なんだかんだ言って仲良いんだから。
二人は照れたみたいで、そっぽを向いた。
「あ、雅だ。」
松下君が、少し先を歩いている雅ちゃんを見た。
あっ、本当だ!
「雅ちゃーんっ!」
私は叫びながら坂を下る。
それに皆が続いた。
「あれ、誰かと思ったらあんたか。」
優衣だった。
「ゆ、優衣ちゃん。あの……」
雅ちゃんが抑えてくれようとしてるのがわかった。
「煩い、ちょっと黙ってろよ。あんたに用はない。」
松下君だった。
私たちはびっくりして、松下君を見た。
「ん?俺、なんかした?」
松下君は訳がわからないらしかった。
「あぁー、なんでもない。で雅、記事の話なんだけど、不審者の件で警察署に取材に
行く事になったんだ。」
榑林も役に立つ。
「面白そうだね!良いんじゃない?」
雅ちゃんは嬉しそうに笑った。
「新聞?あんたらそんなんで、盛り上がれる訳?ないわー。」
優衣がいきなり笑い始めた。
私は優衣に腹が立った。
「人の事をいじめて楽しむあんたにはわかんないだろうけどね、新聞を楽しみに
してくれてる人がいるんだよ?だから私たちは盛り上がれる。悪い?」
優衣は驚いた様だった。
去年の弱い私とは、全然違ったからだと思う。
「新聞……、新聞なんて、そんなもので……?」
優衣はオロオロしながら、坂を逃げる様に下って行った。
すきまもあいてて、読みやすいです!とっても面白いです!頑張ってください!
11:青蓮:2016/12/26(月) 05:56 こんにちは、青蓮です。
ここまで読ませていただきましたが、
着眼点が面白い作品ですねー。
学生新聞というありふれたもので繋がる絆といいますか……。
なかなかおいし…面白そうでこの先を期待せざるをえません!
まぁ、1つ残念だったのが原川優衣の登場ですかね…。
こういう過去に色々ある人物は、前もって説明しちゃったら面白味が無くなるんです。
遥と雅に何かしら反応させるとか、
読者に「何でこんな反応するんだろう? この子(優衣)は一体…」
と思わせるような伏線を張っておいて、終盤で明かすか。
それほど物語に絡まないなら、
せめてキャラの口から過去を語らせると違和感が無いですよー。
これからどんな展開になっていくかは分かりませんが、
期待してます! それではー
>>10
どうもありがとうございます!
>>11
お疲れ様です。
あー、確かに優衣の過去は遥に説明させた方が良かったですね………。
ちょっと>>9を書き直そうと思います。
あ、それでですね、この小説完結したらもう一度感想お願いします。
完結したら青蓮さんのスレに書き込みますね。
お忙しい様でしたら結構です。
感想、アドレスありがとうございました。
是非参考にさせていただきます。
>>9書き直します。
「で、取材は決定で良いんだよね?」
松下君、ナイス!
さすが局長。
デリカシーは無くても、こういう所では役に立つ。
局長に相応しいね。
「もちろんっ!」
「当たり前じゃんっ!」
玲と榑林の声が重なる。
もう、なんだかんだ言って仲が良いんだから。
二人は照れたみたいで、そっぽを向いた。
「あ、雅だ。」
松下君が、少し先を歩いている雅ちゃんを見た。
あっ、本当だ。
私は雅ちゃん目掛けて坂を下りながら叫んだ。
「雅ちゃーん!」
雅ちゃんの近くにいる『あの人』には気付かずに。
「あれ、何やってんのあんた。」
私はその声にビクッとして立ち止まった。
恐る恐る、雅ちゃんの少し前に立っている『あの人』に目を向けた。
「まだ新聞なんか本気で書いてんの?」
そう私を嘲笑ったのは、原川優衣。
あぁ、そうだったんだっけ。
雅ちゃんは優衣と仲が良かったんだ……。
なんで私、バカみたいに近づいて。
「遥、大丈夫?気にしなくて良いんだよ?」
玲は訳を知っている。
私だって、死ぬほど知っている。
だけど私はそっちに怒っているんじゃない。
この人に会ったから怒っているんじゃない。
『新聞をバカにした』から。
私たちで作り上げた新聞を。
「皆、雅ちゃんに速く記事の事話そうよ!」
玲、ありがとう。
「お、おう。えっと新聞の記事で今度、警察署に取材に行くんだ。」
松下君も榑林も、なんだかよくわからないらしかった。
そりゃあそうだ。
話してないんだから。
「面白そう!良いんじゃない?」
雅ちゃんは私の方を気にかけながらも、楽しそうにしてくれた。
優衣は、話に入れなくてイライラしている。
「このままうまく終わらせよう!」
玲が私に耳打ちした。
まって、このままで良いの?
新聞をバカにしたあの人を、放っておいて。
「ねぇ、原川さん。さっき、言ったよね。新聞なんか本気で書いてんの?って。
笑ったよね?」
優衣はニヤッと口元を緩ませる。
「言ったけど?それに笑ったよ?なんかおかしい?だって、5年生にもなって新聞に
本気になるとかおかしいじゃん。」
私の中の何かがカチンと来た。
「人をいじめて楽しむあんたにはわかんないだろうけどね。新聞を楽しみに
してくれてる人がいるんだよ?だったら本気になったっておかしくないでしょ。」
優衣が固まった。
皆もだった。
「え?いじめって……、原川が?」
榑林はすぐに私を見た。
「原川が……、遥をいじめたってこと?」
松下君は理解が早い。
「そうだよ。原川さんは私をいじめてた。」
途端、優衣が逃げ出しそうになる。
「なんで、それを言うの……?もう、嫌だっ!」
優衣は逃げる様に坂を下って行った。
「ゆ、優衣ちゃんっ!」
雅ちゃんが思わず追いかけそうになる。
けれど、止まった。
「優衣ちゃんにそんな過去があったなんて……。」
あー、すいません。>>12アドバイスがアドレスwになっておりました。
15:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/12/27(火) 16:46 「遥………、言って良かったの?遥の嫌な思い出が蘇っちゃうじゃん。大丈夫なの?」
玲は相変わらず心配そうにしている。
「うん。もう大丈夫だよ。いつまでもクヨクヨしてたって何にも生まれないでしょ?
だから、優衣に何かされるって怯えてちゃ駄目なんだよ。」
私は、精一杯今の気持ちを皆に伝えた。
過去の事で未来に怯えてはいけないんだ。
今の私にはこんなに楽しい新聞係がある。
それが私の未来なんだよ。
「そうだよね。未来を信じないと何も生まれないよね。」
玲がぽつんと呟いた。
皆は相変わらず下を向いたまま、考え込んでいる様だった。
「今のって、遥の名言だよな。」
榑林だった。
いやいや、名言って私は偉人かっ!
「そうだよね。勇気出る。」
局長……。
雅ちゃんも空を仰いだ。
「遥ちゃんは、いじめを乗り越えたからこそ、前を向けるんだよね。」
私は恥ずかしくなって叫んだ。
「よーし、帰るかぁっ!今ので大分時間ロスしたからね?」
瞬間、じっとりとした皆の視線。
「今の、榑林が言いそうな台詞だよな。」
「っていうか遥、今のでさっきの私らの感動消えたからね?」
「な、なんか遥ちゃんらしくない台詞だね……。」
榑林だけが何も言わなかった。
ホッとした次の瞬間。
「さては遥、照れたな。」
うっ。
「なんだ、照れてたのかぁ。」
玲………、やめて。
「遥、照れるとか。自分が言った言葉じゃん。」
局長ぉっ!
もう相応しいとは思わない。
「あ……。ヤバい、私帰らないと。もうすぐ習字だっ!」
おぉ雅ちゃん、ナイスです。
って、考えてみれば私もピアノ…………。
「あっ、じゃあ明日ぐらいに俺ん家で打ち合わせ!まずは先生と警察署に許可貰わないと。」
局長、了解です。
次の日、私たち新聞係は5年2組担任の橘先生を必死に説得していた。
松下君によると、警察署からはokが出たらしい。
だから後は先生の許可をもらうだけ、ということだった。
「お願いします!皆の役に立つ記事を書きたいんですっ!」
私たちは必死なのだけれど、先生は
「何を言っているのかよくわからないです。警察署に取材?ダメに決まってるでしょう?」
と言うだけだった。
これ、繰り返してもう5分は経つ。
「もう諦めたほうが良いかもね。」
雅ちゃんと私は顔を見合わせる。
でも松下君は必死だった。
いやぁ、さすがにもう無理なんじゃ………。
と、その時だった。
「ん?君達、どうしたのかね?」
声の方を見るより先に、先生が叫んだ。
「校長先生っ!?」
へっ!?
「いや、ね。今、取材だかなんだかって聞こえたから、もしかしたら君達は学校便りに
載せた新聞係かなと思って。」
「はいっ、僕たちが新聞係です!」
松下君が局長らしく前に進んだ。
松下君が一部始終を話終えると、校長先生は嬉しそうに言った。
「ほう、警察署に!防犯対策としてとても良いと思うよ。行ってきなさい。」
やったぁっ!
先生は呆れた顔をしていたけれど校長先生に、
「橘先生、良いでしょう?」
と言われたから、渋々頷いた。
「ありがとうございますっ!」
私たちは半ば飛び跳ねながら計画を立てるのだった。
「今週末はどうかな?私、体操教室休みだから。」
「良いんじゃない?土曜日なら私も空いてるよ。」
「俺も大丈夫。」
「私も大丈夫だよ。」
「じゃあ、今週の土曜日、9時に旭町のスーパーで。あそこなら警察署に一番近いし、
皆が集まれる様なスペースもあるしね。」
了解!
「楽しみだね。」
私が言うと、榑林がはしゃぎ出した。
「じゃあいっそ、そのまんまピクニックとかしちゃえば?」
なんか楽しそう。
「じゃあ取材終わらして、近くの公園で昼食も兼ねて遊ぶ?」
松下君が言うと、皆も頷いた。
すいません、>>17名前間違えました。
美音です。
新聞係って、このメンバーって、いいなぁ。
一緒にいて、全然飽きない。
来年もクラス替えはしないから、皆一緒だよね。
先生も同じだから、また皆で取材できるかも!
未来の事を想像して、私は笑った。
きっと皆、変わらないんだろうなぁ。
土曜日、私は張りきってスーパーに行った。
「皆、おはよー!」
もう松下君と雅ちゃんと玲は来ていて、あとは榑林だけだった。
「お弁当、何にした?」
雅ちゃんに聞かれ、私はにっこりする。
「サンドイッチ!お母さん特製のやつなんだ。」
玲が言った。
「私はオムライス。卵ふわふわなんだから。」
玲のお母さんは、料理上手。
「雅ちゃんは?」
私が聞くと、雅ちゃんがお弁当を指差す。
「実はまだ見てないんだ。お母さんが開けてからのお楽しみって。」
へぇ。
それもそれで面白そうだよね。
「おーい、皆!」
榑林が来た。
「おい航、お前10分遅刻だぜ。」
もう、榑林ったらだらしない。
「ごめんごめん。」
榑林は頭を掻く。
「全く。じゃあ全員揃ったし、行くか。」
松下君の号令で、皆がいっせいに自転車を漕ぎ出した。
警察署に着いて、受付で事情を話すと、事務員の人が一人のおじさんを連れてきた。
「私は前田康彦と言います。君達が花崎小学校の新聞係かね?」
前田さんに聞かれ、松下君は返事をする。
「はい。僕は代表の松下慶と言います。」
手招きされて、咄嗟に一番近くにいた私は口を開く。
「えっと私は、河本遥です。」
そのあとに玲が続いた。
「倉島玲と言います。」
うわぁ、大人だな。
「武田雅です。」
なんか、皆アタフタしないでしっかりハキハキ言えてる………。
私はやっぱりまだまだだなぁ。
「榑林航です。」
いつもはおちゃらけ男子の榑林さえ、しっかり気をつけをして言っている。
「よろしくね。」
前田さんは私たちににっこりし、着いてきなさいと言って私たちを手招きした。
松下君を先頭に、私たちは進んだ。
「取材を始めよう。」
前田さんにがそう言い、私たちの取材はスタートした。
「ふぅ、楽しかったね。」
玲が呟き、私たちも頷く。
前田さんは、正義感のあるとても良い人だった。
「よし、飯食うぞ!」
榑林がお弁当を出す。
私たちもそれに続いてお弁当を出した。
今日、楽しかったなぁ。
夜、私はベットに入って今日の事を思い出していた。
また、取材したいな。
それで、皆に新聞の良さを伝えたい!
今はテレビって言う人も多いけど、新聞でも全然良いと思う。
そんな事を考えている間に、私は深い眠りに落ちた。
1週間後、私たちの新聞は全校で配られ、5年2組新聞係の存在が明らかになった。
「やったね!これで学級新聞の良さを皆にわかってもらえるし。」
松下君の机の周りに集まって、私たちは笑い合っていた。
「本当にそうだよね。新聞って素晴らしいって事を伝えられたよね。」
うん!
私たちは元気が良かったのだけれど、松下君はなんだか気分が悪そうだった。
だけど、まぁ大丈夫だよね。
なんて言ったって、松下君はすごい健康だもん。
今年はまだ休んでない気がする。
そう思った瞬間、松下君の身体は重心を失い、ガクッと俯いた。
手はだらんとぶら下がっており、顔は青かった。
「ま、松下君っ!?」
私はびっくりして叫ぶ。
「お、おい慶、どうしたんだよ。」
榑林が松下君をゆさゆさと揺らした。
それでも松下君は、うんともすんとも言わないのだった。
「と、とりあえず保健室連れてこっ!」
玲が叫んだ。
今は放課後で、先生もいなければクラスメートもいない。
これはもう榑林に頼むしかない!
「榑林、松下君連れてって!担いででもなんでもして!」
私たちは教室のドアを開け放ち、先に保健室に向かった。
「遥、遥は榑林手伝って。」
玲が凄い形相で私を見た。
へ、なんで?
「だって遥、あんたはこの中で一番男っぽいでしょ。」
え、えぇぇぇっ………………!
わ、私が男っぽい………。
「おい遥、ぽけっとしてないで速く手伝え。」
榑林が睨む。
しょうがない、やろう。
榑林と一緒に松下君を運び、保健室に連れていった。
玲と雅ちゃんが状況を伝えておいてくれたみたいで、保健室の先生は顔色を伺った。
「この倒れ方は尋常じゃない。それに意識が全然無い。救急車を呼ばないと。」
は、はぁぁっ!?
き、救急車って………。
松下君そんな変な病気なの!?
どうしよう…………、そんな。
「とにかく私は救急車を呼んでくるわ。」
そう言って、保健室の先生は出て行った。
「局長がこんな事になっちゃって………。私たちどうすれば良いの?」
雅ちゃんが呟く。
私も悲しかった。
新聞係がせっかく一致団結できたのに。
局長がいなかったら、私たちは新聞を発行できるのだろうか?
せっかく皆に新聞係の存在を知ってもらえたのに。
「河本さん、榑林君、松下君に付き添ってくれない?」
ガララッとドアを開けながら先生が入ってきた。
付き添う?
「私たちは、後で病院に自転車で行くよ。そこの総合病院なら近いから。」
玲が私の肩に手を置く。
私は頷いて、榑林と一緒に学校の正面玄関に向かった。
「慶、無事だと良いけどな。」
榑林がポツンと呟いた。
無事だと良い?
それじゃダメだよ。
絶対無事じゃないと嫌。
無事でいてほしい。
私は雲の流れる空を見つめながら言った。
「きっと、きっと無事だよ。」
流れの早い雲は、私たちの重い心とは裏腹に、するすると気持ちの良い程に流れていく。
時間が巻き戻って、また松下君と、皆と楽しく新聞の事を話したり、色々やったりできたら
どれ程嬉しいだろうか。
私たちの沈黙を、耳をつんざく程の救急車のサイレンがぶち壊した。
着いた瞬間、松下君はストレッチャーに乗せられ、私たちと一緒に救急車に乗り込んだ。
「君、この子が倒れた時はどんな感じだった?」
救急隊員の人が私に聞く。
「あ、えっとなんかいきなり重心を失ってガクッとしてました。」
救急隊員の人は頷き、私は松下君を見下ろした。
上のトリップ違いました。
27:美音◆.wmpFy.Zyhxio お、おう :2017/01/19(木) 17:19 どうかなんともありません様に!
病院に着いて、私と榑林と玲と雅ちゃんはしばらく待っていた。
松下君はまだ意識が戻っていないらしい。
どうなったのだろうか。
心配で心配で仕方ない。
*
「親御さんはいらっしゃってますか?」
先生が病室から出てくる。
「あ、まだです。」
確か松下君のお父さんとお母さんは………、高校の先生?
「じゃあ君達ででも話を聞いて貰うかな。」
そう言われて私たちは、診察室に入った。
「簡単に言うと、慶君は脳にガンがあるんだ。手術で取り除けば大丈夫、問題無いけどね。」
松下君が………、ガン!?
「嘘、マジかよ…………。」
榑林が呟いた。
それから1週間。
松下君は手術を受けた。
その日は平日で学校があったから行けなかったけれど、土曜日には新聞係皆で行く事にした。
土曜日、私たちは病院に行き、松下君の病室へ駆け込んだ。
「松下君っ!」
松下君は思ったより元気そうで、本当にホッとした。
「あぁ皆、ありがとう。」
そう言って松下君は笑った。
「俺はもう大丈夫だからさ、新聞どうするか話そ。」
こんな時にも新聞かい!
「良いけどさぁ、松下君、まだ後1週間ぐらい入院するんでしょ?その間、局長無しで大丈夫
なのかなぁ。」
玲が置いてあった丸椅子にドスンと腰掛けた。
榑林も腕を組む。
「慶が居なくて良い新聞出来んのかぁ?」
うん、松下君が居ないと新聞係は成り立たない。
「でも俺は、皆に新聞出して欲しいよ?楽しみにしてくれてる人たちがいるんだしさ。」
松下君のその言葉が、私たちの胸を突いた。
皆、いっせいに黙る。
そうだよね。
新聞を楽しみにしてくれてる人たちが居るんだよね。
だったら、何があっても書かなきゃ!
そう思って、私は口を開いた。
「松下君の言う通りだと思う。だって私たちは新聞係なんだよ?新聞を発行する事が
目的でしょ?だったらその目的を成し遂げなきゃ、何があっても。」
松下君が笑った。
「遥は賛成だよ。俺が居なくて取材とか大変かもしれないけど、頑張って欲しい。」
榑林も玲も雅ちゃんも、頷いた。
よし、私たち4人で頑張ろう!
月曜日、私たちが学校に行くとあの原川優衣が言った。
「あんたらさぁ、新聞係とか言ってんのに全然発行出来てないじゃん。もう飽きた訳?」
え?
私たちは硬直する。
「飽きたって、そんな訳ないじゃん。ただ松下君が病気で発行出来てなかっただけなんだけど?」
玲がイライラしながら言った。
私たちも同じだった。
「へぇ。あんたらって局長いないと新聞発行できないんだぁ!マジかぁ。めちゃめちゃ笑える
んですけど。」
は?
この言葉には私もカチンと来る。
「いい加減にしてよ。私たちだって頑張ってんだよ?貴方は軽そうに言うけど、局長が病気って
事は私らにとってショックだったんだから。偉そうにしないでよ!」
雅ちゃんだった。
いつも静かな雅ちゃんがそんな事を言うのは、私たちだけでなく、優衣も驚いた様だった。
榑林がそれに乗っかる。
「そうそう。ってか元いじめっ子にそんな偉そうな顔されたくないし。」
優衣はますます顔を歪ませる。
「じゃ私たち、新聞について話し合うから。」
終いに玲がそう吐き捨て、私たちは教室の隅に集まった。
「ふぅ、なんなのあの人。」
玲がため息を吐く。
私も頷いた。
雅ちゃんがどんよりしたこの場の空気を変えようと言った。
「まぁまぁ。とりあえず新聞について話そ。」
だね。
「えっと………なんか良いネタないかな。」
私は頬杖を着きながら言った。
「ねぇ、今って黙って掃除週間じゃん。だからそれについて書いたらどうかな?」
良いね!
私たちは記事の割り付けをし、来週の火曜日発行を目指した。
火曜日。
私たちは予定通り火曜日に新聞を発行できた。
「良かったあぁ。ちゃんと発行できて。また原川さんに怒られる前に。」
雅ちゃんが伸びをする。
次の日、やっと松下君が復帰し、久しぶりに新聞係が勢揃いした。
「へぇ、結構良い新聞じゃん。」
松下君が壁に貼り付けられた新聞に目を通しながら言った。
「だろ?慶が居なくても大丈夫だってわかったよ。」
榑林がニッと笑う。
ふぅ、なんかやっと一息つけた。
私たちは記事の割り付けをし、来週の火曜日発行を目指した。
火曜日。
私たちは予定通り火曜日に新聞を発行できた。
「良かったあぁ。ちゃんと発行できて。また原川さんに怒られる前に。」
雅ちゃんが伸びをする。
次の日、やっと松下君が復帰し、久しぶりに新聞係が勢揃いした。
「へぇ、結構良い新聞じゃん。」
松下君が壁に貼り付けられた新聞に目を通しながら言った。
「だろ?慶が居なくても大丈夫だってわかったよ。」
榑林がニッと笑う。
ふぅ、なんかやっと一息つけた。
とりあえず新聞は、これから今まで通り発行できそうだな。
ごめんなさい、>>32は無しって事で。