早速、松下君が先生に報告する。
「先生、僕たち新聞係の記事が、学校便りに載ることになりました!」
先生は一瞬、固まった。
多分、松下君の言っている事にびっくりして、とっさの反応に困ったんだと思う。
「学校便り……?って、本当!?あなたたちの新聞が学校便りに?」
先生の頭は『?』だらけらしい。
「それじゃあ僕たち、取材に行くんで!」
私たちは張りきって2年生の教室に向かった。
「失礼します。えっと、5年2組新聞係です。記事の写真の提供とインタビューに来ました。」
私が胸を張って言うと、2年生の子たちが飛びついてきた。
「インタビュー?」
「新聞だって!」
「すごいね!」
私たちは思わず微笑み合う。
そこに先生がやってきた。
「あぁ、どうもどうも。写真はここにあるよ。インタビューを受けるのはこの二人。」
先生が指を指した先には、男の子と女の子な一人ずつ、緊張した顔つきで立っていた。
「じゃあ、ちょっとお話聞いても良いかな?名前をまず言ってね。」
弟と妹がいる雅ちゃんが、慣れた感じで手招きする。
「えっと……、笹本要(ささもとかなめ)です。」
まず口を開いたのは、男の子だった。
「要君ね。老人ホームに行ってみて、どうだった?」
ノートを準備しながら、私は優しく聞く。
私の家には、4歳上の星菜(ほしな)お姉ちゃんしかいないからよくわからなかったんだけど、ね。
要君は、つっかえながらもいろいろな事を話してくれた。
「わ、私は橋本香音(はしもとかのん)です。」
次に女の子の方も口を開いた。
「香音ちゃんね。老人ホーム、どうだったか教えてくれる?」
香音ちゃんは頷きながら言ってくれた。