【初音 -前文-】
噎せかえる熱気、
ジリジリと体を焦がしていく日差し、
押し寄せる風の波。
世界は平凡で、退屈で、本当につまらない。
そう、つまらない。
なら、どうすればつまらなくなくなるのか?
そんな考えから生まれたのであろう、現代の遊戯は、本当にとんでもない革命だったのだろうと、俺は常々考えている。
50年前には存在していなかったものが、今流行していたり、あちこちで使われていたりする。
それは進化なのか、はたまた運命なのか。
まぁそんな厨二っぽいこと言い出すまでのことでも無いだろうが、実際、こうした「文化」によって救われている人も少なからず居るのではないだろうか。
居場所が無かった人、居場所が分からなかった人、居場所を失った人。
そんな人達の支えになっているのかも知れない。そのことをふまえれば、やはりこの文化が出来たのは運命なのではないだろうか。
一方で、勿論それを否定する人も勿論いる。
まぁ、物の「価値観」なんて人それぞれだ。何も否定するなと言う必要は無い。
それでも、
その文化には、
社会に旋風を巻き起こすことがある。
世界を平和にすることがある。
そして________
人と人とを、結ぶ力がある。
これはそんな下らない文化にドップリと浸かって色のない日々を過ごしていた俺が、ある夏を境に巻き込まれた、
ある、青春の物語。