一話
「待ってよレイにい!」
一人の少女が一人の少年を追いかける。その追いかけていた人物、それは【ロゼ・コロル】。スプリガンの村の中ではアイドルとも言える存在。そのロゼが追いかけていたのは、【レイ・コロル】。スプリガントップの剣術と強さをかねそなえた少年。彼と彼女は兄妹である。
「ロゼが遅いんだろう」
「レイにいは速すぎるんだよ!ダンジョンでも私に合わせてくれないもん!」
「そういうなら足の早くなるように特訓すればいいだろう」
「いつもやってんなぁ。二人とも仲がいいねぇ。」
レイとロゼが言い合いをしている中、農民の一人が笑いながら言ってきた。
ロゼとレイは、声がそろって、「「まったくよくない(!)」」と突っ込むが、声がそろってしまったために、また、仲がいいねぇ。と笑われてしまう。
「ロゼ、さっさとダンジョン行くぞ。」
「わかったよ!もうレイにいは・・・」
レイは、先ほどからも言われている【ダンジョン】へと向っている。そのダンジョンとは。中には魔物が潜み、そして宝が眠っている。魔道具、魔剣、財宝。それらを求めてダンジョンを探索している者が多い。皆はそれを冒険者と呼んでいる。そのダンジョンへ、足を踏み入れている冒険者の中にも、レイとロゼが含まれている。
「ヒホ。スプリガンの兄妹。待つヒホ。」
走っているレイとロゼを呼び止めたのは、生まれた時から”ヒホ”という語尾を残して喋る妖精、”ジャックフロスト”だった。
「何?私達はダンジョンへと・・・」
「だからヒホ。オイラをダンジョンへと連れて行って欲しいヒホ。氷関係なら大得意ヒホ。」
「今から行くダンジョンは炎系だし、それに、弱そうだし連れて行けないね」
レイはジャックフロストを無視し、そのままロゼをダンジョンへと連れて行っていった。
もちろん中は灼熱地獄のダンジョン。マグマがボコボコという音を立て、暑い〜と言いながら進むロゼとレイ。
「ロゼ、地面を踏み抜くなよ」
「レイにいこそ気をつけてよ!」
「お前は非戦闘員だろ。だから心配なんだよ。」
レイとロゼがまたも小さい喧嘩をしていると。
―ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!
「悲鳴!?」
ロゼが聞きつけ、レイとロゼは悲鳴のある方向へと走った。レイとロゼがたどり着いたときには、体を真っ二つに裂かれ、食われている冒険者と、その冒険者を食っている、赤い竜がいた。
「ロゼ、あれなんて名前だ」
「あれは・・・赤竜!危険度7だよ!気をつけて!」
「言われなくてもわかってる!」
レイは、背中から一本の剣を抜いた。それは赤黒い剣である。禍々しい気を放っていて、その剣を構えたレイを見たものは逃げ出すであろう。そのような気をレイは放っていた。
「さて・・・どう斬るか」
一話終わり
赤竜説明
危険度
★★★★★★★☆☆☆
赤い鱗を持つ竜。火炎のブレスを吐き、鱗を飛ばすことが出来る。しかしそれ以外で攻撃するという知能が足りない。が、鱗に当たれば並みの防具や剣なら木っ端みじんに砕ける。