「佐原さん、ノート出してもらっていい?」
本をあと数ページで読み終わる。
そんな時に声をかけられた。
そういえば今日は数学のノートが提出だったけ。
「え、あ、えっと…ど、どうぞ…」
カタコトで聞き取りにくい言葉と共に数学のノート
を渡す。
「ありがとう。読書中にごめんね」
きっと聞き取りにくかっただろうに笑って去っていった。
葉上 翔くん。
頭も容姿もよくて女子からは物凄い人気だ。
しかし彼は甘いものに厳しい。
少しのことをきっかけに語り出すものだからそのときは
皆苦笑している。