5月半ばの朝。5時くらい。ふと目が覚めた。…ような気がした。
「…?」
なんか、さっきから起きていたような、
夢なのか現実なのかよくわからないことが起きた。
生まれつき俺は夢の内容を覚えることができない。思い出せたとしてもいつもぼんやりとした雰囲気だけなのに。
今回に限って妙に鮮明に覚えている。
白い髪に白い肌の、俺と同じ高校生くらいの少女が、『戻らなきゃ』と俺に
言ってきたのだ。それも、今みたいな朝の光に吸い込まれるように…。
「(どういうことなんだろう?しかも『ありがとう』って…?)」
もやもやしていた俺の頭には、何故か、最近死んでしまった唯一の家族、
シロ(飼い猫)が浮かんでいた。