琴実千尋は、殺気を感じた。
それは、彼の思い違いとは言えない。
(誰だ‥…?会長の指図か‥…。)
彼の自由を奪った、憎き“敵”の姿を思い浮かべて、ギリッと歯軋りした。
(誰があんな奴の言うこと聞くか‥…。__を、殺したくせに。よく飄々と生きているな。)
屋上で、弁当をあける。
冬から春へと移り変わる、寒い風が吹く。
でっぷりとした体を揺らし、屋上の目立たないところに座る。
「ホントか!?それ!」
はしゃぐような、男子生徒の声。
「ホントだよ。君島七瀬、殺したの、十中八九、千葉波だって!」
押し殺した声に、興奮が含まれる。
プルプルと、千尋は、拳を握る。
思わず、千尋は耳を澄ませた。