頭のイカれた心理学者、馬場みみるは、二人の男女が並んで歩いている
のを、後からついて、こそこそ見つめていた。
「人はどこまで共感できるのか」
それが彼の知りたいことだった。
「あのカップルは、愛し合っている。愛とは、共感である。それならば、あの女をさらって、
脳を改造する。そして、リモコン一つで、彼女の行動の『正常度数』を操作できるようにする。
その正常度数を、日々少しずつ上げて、彼女を異常にして行く。そこで、あの男が、どこまで
彼女の面倒を見るか、観察するのだ。」
みみるは彼女の家を突き止めて、それからラボに戻った。
例の装置を作り始めた。