よく晴れた日曜日、進は公園で待ちくたびれていた。何度も何度も腕時計を確認し、何度も何度も電話をかけた。反応はない。
岸田桃香はすでに、みみるのラボでとらわれていた。
椅子に縛り付けられ、頭に変な装置が取り付けられていた。
脳には、ミラーニューロンというのがある。このミラーニューロンのおかげで、人は相手の気持ちを考えることができる。そして、みみるの
装置は、このミラーニューロンをみみるのリモコンとだけ調和するように仕向けるのである。
記憶を消すのは訳も無いことだった。二度と思い出したくもないほど、嫌なことを桃香はみみるにされた(それは、ここには書けない。もし
具体的に書いて、それを読んだ読者が精神に異常をきたしても、筆者は責任を取れないのであるから)。
すると自動的に記憶は抹殺され、気がつけば桃香は進むの待っている公園に向かっているだけだった。
公園では進がいらだたしげに待っていた。
「遅すぎ!寄り道でもしてたの?」
「いいえ、全然!急いできたはずなのに、おかしいなあ」
進は、怒ってやるつもりだったが、桃香を一目みると、そんな気持ちは消えた。