雨の中。
僕は山を駆け抜ける。
山登りもしたことが無いような僕が、しかも雨の中。
昨日、僕の彼女が死んだ。
太陽のような笑顔を持つ彼女だった。
僕には勿体ないくらいの美少女だった。
だが、彼女はこの世界にもういない。
彼女が死んだというのに、僕は何をしようというのか?
もちろん、死ぬためだ。
彼女がいないこんな世界は、僕にはもう必要ない。
一人で死んでしまった彼女に会うために。
きっと彼女は天国にいるだろうなぁ、自殺をしても天国にいけるだろうか?
いや、彼女のためにどうしても天国にいかなくてはならない。
きっと一人で寂しい思いをしているだろう。
僕がいかなくては。
彼女が寂しい思いをしないように。
僕が側にいなくては。
そう、彼女と誓ったのだから。
震える手で木に吊るしたロープを掴む。
思えば彼女に会うまでは、散々な人生だったなぁ。
人見知りで頼りのない僕にも優しくしてくれた彼女。
彼女に会うために、世界に別れを告げる。
雨に打たれた体は、妙に冷たく感じた。