トライデントの存在する世界で他次元世界が認知されているのは先述の通りであるが、それを受けて国際連合は各国の有識者と首脳陣による評議会を秘密裏に設立。他次元世界で発生した次元異常への対処方法が議論される仕組みが出来上がった。その決定に従い、軍事作戦の実働にあたるのがトライデントなのである。しかしこの"評議会"の決議とそれに至るまでの議論は、対外的には勿論のこと当のトライデント職員にさえ非公表であった。行動目的の明らかでない組織でありながらも、トライデントの職員は概ね任務に忠実であった。
というのも、ディスラプターの次元破壊行為の余波は確かに彼らの世界を蝕んでいたからだ。
『……臨時ニュースを申し上げます、たった今入りました情報によりますと、太平洋の海底岩盤に巨大な陥没が発生した可能性があるとの事です。現在、海面に大きな凹みが生じているとの……』
何の気なしに付けたラジオ、そこから流れるニュースに、男性兵士が呆れたように溜め息をついた。
「海底陥没したところで海面が凹むかよ……で、こんな常識破りなことが起きたってことはだ。」
「評議会の決議は早まりそうね。」