True End

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4:匿名:2017/07/14(金) 06:57

「本当にこの中にいたりして……殺人犯」

大槻のこの言葉が、全ての始まりだった。
8人しかいない放課後の教室では、先程まで喋り声で溢れていたが、それで一気に止んだ。
皆の顔が強張る。

「な、何言ってんだよ。俺達には彼奴を殺す理由なんてないだろ?」

すぐに俺は反論したが、大槻は俺達の顔を見渡すと、口を開いた。

「いや、案外いたりしてね。本当はいじめをやりたくなくて罪悪感ばかりが募っていく奴が、最終的に小倉……いじめの標的の存在を恨んで殺したかもしれない。いじめを楽しんでいた奴も、ふざけ半分でナイフで脅してみたら背中に刺さってしまったって可能性もある。それか、もともと小倉に何か恨みがあっていじめでストレス解消していたけど物足りずに、殺害した……ってことも有り得る」

彼の言葉で、心臓が激しい鼓動を打った。
額から冷や汗が流れる。

「この中にいるんだろ?殺人犯」

大槻の目は獲物を探る狩人のようだった。
この緊迫した空気の中、次に口を開いたのはいじめの主犯の西尾だった。

「んなわけねぇだろ!俺達の中にいるなんて信じられるか!」

怒鳴る西尾に対し、大槻は冷静に答えた。

「まあまあ、怒るのは後にして。【犯人探し】をするのが先だよ」

その声は少し上ずっていた。
まるでこの状況を楽しんでいるかのように。 

「犯人探し?」

一人の女子が彼に訊いた。

「そう。皆から小倉に関係する話を全て話して欲しい。この中に犯人がいるとしたら、何か矛盾点が生まれたりするかもしれない。そうすれば、この中に犯人がいるかどうか、わかるからね」

再び彼は全員の顔を見渡した。
その威圧を含んだ目に、反論していた西尾が溜め息混じりの声で言った。

「……わかった。だけど、犯人探しして何になるんだよ」

その質問に、大槻は少し間を開けて話し出した。

「……いじめを繰り返さないためだよ。仮に犯人が俺達の中にいたとしたら、【いじめていた奴が死んだ】【その犯人は自分の仲間にいた】って頭の中に叩き込まれるからね。トラウマに近いよ。殺人犯が自分の近くにいたんだから。だけどそうすれば、このことを思い出さないように、いじめはやらなくなる。少なくとも、俺達は、だけど」


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