1.私はハッポースチロール
私は、本当に謎に出会う運命なんだろうなって思う。
だってさ、事件によく逢うのよ。
私の頭と事件の頭がゴッツンコ!
これをポスターに描いてみたのよ。
結構力作でさ、これにならないように。みたいに描いたの。
夏休み後、私のポスターが全国へ行ったって。
どういうことっ?
私が買った画用紙って、羽が生えてたってことっ?
ゾ〜クゾクゾク。
あの画用紙、怖〜い。
でもそれは、数々の審査を通ったってことらしい。
ああ、そういうこと。
早く言ってくれたら、恥ずかしくなかったのにさ。
プンプン。
あ、私、高野真櫻だよっ!
みんなには、腐ったハッポースチロールってよく言われる。
意味は分からないけど、バカにされてることは分かってる。
頭いいでしょ、へっへ〜ん。
「マオ。だから翼君に言われるのよ。腐ったハッポースチロールって」
ムッ。
ママまで何てこと言うんだっ!
私がそんなにハッポースチロールに見えるのか〜!
私がそんなにゴミに見えるのかーっ!
「マオ、マンガばっかり見て。勉強したらどうなのよ、勉強。翼君は頭いいのに、どうしてマオはバカなの」
ムッムッムッ!
ママ、黙って聞いてれば、失礼な言葉並べてるじゃない。
ケンカ売ってるのっ?
でも、わたし売ったことも買ったことも、ないんだよね〜。
ケンカって、売るもの?
買うもの?
値段付けられるのかな?
日本語って、フシギ〜。
「ママ、翼君がほしかったわ〜。カッコいいしねえ。頭いいし。運動も出来るのよね。いい子よ〜」
ママにだけよくしてるだけだよっ。
私には、怒ってばっかり。
イライラしちゃう、もう!
でも、ママってよく言うのよ。
翼君がいい、翼君がいいって。
私じゃイヤなら、いいよ!
「翼君のママもマオがいいって言うものだから。交換したいわ〜」
さすがの私も、これにはキレたっ!
ママをにらみながら立ち上がる。
「ろくなこと考えないマオより、翼君の方が絶対いいわ」
「ちょっと。ママッ!何でそんなこと言うのよっ!」
「だってそうなんだもの」
キーッ!
もういいよ。
私だってママ、いらないもんっ!