拝啓、意識と群青の深層より

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧
1:六波羅短大:2017/08/22(火) 13:20

Re: -Under The Sea-

 ____母なる海と誰かが言ったけれど、あながち間違いでもなかったみたいだ。

 宝石のような銀の泡と共に、僕の下らない呟きが上へと舞い上がる。あんなに綺麗な僕の吐息と、あのつまらない言の葉が、同じ僕の口から生まれたなどとは信じがたい。僕は、それらが黒の彼方へと消えていくのを確かめ、ゆっくりと目を閉じた。

 ____嗚呼、どうせ暗闇だもの。何も変わらない。そうだろう?

 返答は無い。そんな事分かりきっていた筈なのに、何故かきゅうっと胸が締め付けられた。分かってた筈なのに。
 僕はゆっくり微笑むと、ぎゅっと拳を握り締めた。何かが指の間をすり抜けていく。それは僕にとって喪失なのか。それとも、元々僕の手の中には無かったものなのか。


全部 次100> キーワード
名前 メモ