1.クラブって何?
もーう。
どうして決めなきゃならないの!
クラブなんか、適当でいいのにさ。
手芸に入っていたけど、先生がイヤでやめた。
やりたいのとかないしー。
「針山さん、書いて」
先生に注意されて、渋々名前を書く。
針山ゆもも。
みんな、初めまして!
私立花咲学園中1のゆもも!
って言っても。
地味だし暗いし目立たない。
取り柄もなければ成績もよくも悪くもないんだよね。
「クラブ9個の中からですよ〜」
あれ、10個じゃない?
うっすら文字で『霊用倶楽部』って書いてあるのに。
わたし、幽霊や妖怪、オバケが大好きなんだ!
霊用って面白そう。
わたしは、第一希望に『霊用倶楽部』と書き込んだ。
「楽しみだな〜」
ひとりでつぶやきながら、みんなの会話をちょっと聞く。
約束してるじゃん。
何のクラブ入るのか。
「バスケどお?」
別に何でもいいじゃん。
わたしは、遠くを見ながらうつむいた。同じクラブにしたい人もいないと思うと、ちょっと悲しくて。