私は正直に言う。
「昨日の放課後、佐野愛衣さんと、秋山悠太君が渡井先生と話しているのを見たんだよ」
それは、本当に偶然のことだった。
いつものように帰ろうとしたら、渡井先生の怒鳴り声が聞こえてきた。
「何言ってるんだっ!?」
一体何事だ、と私は走り出したが、すぐに忍び足に変えた。
すぐ近くに、佐野愛衣さんと秋山悠太君がいるのが見えたから。
「先生……」
「貴方達には、僕はそんな人間に見えていたんですか?」
「っ……」
悔しそうに、下を向いて唇をかむ佐野愛衣さん。
秋山悠太君は、それでも
「でも、先生明らかに差別していましたよね」
と食い下がっていた。