「まあ、今までの会話の流れで全て理解しろなんて言わないわ。」
魔女は優しく微笑んだ。作り笑いだ。これ。
「えと、じゃあ聞いても、いい?」
「ええ。」
「私が名前と魔法をもらう理由は?」
「魔法の国へ導くための鍵、そう言ったわよ?」
不思議そうに私を見ている魔女。その瞳は、赤かった。少し怖いと思いながらも次の質問に移る。
「私が、魔法の国へ行くってこと?」
「正確には魔法の国がある世界ってところかしらね。質問はおしまい?」
「えっと、まだある。私がなんでそこに行かなくちゃならないのか、私がなんで今こんなに冷静なのか、答えて。」
「そこへ行くのはあなたが最適正だったから。冷静なのは、私の魔法。心拍数を抑えたりできるの。」
「さ、最適正って、どういう…」
「あなたが平々凡々だからよ。素晴らしいと言われてしまうような何かを持っている人ではその身体に、魔力生産機関、他の呼び方では、魔力供給機を元々の能力としてその身に宿させる事が難しいの。」
「へ、平々凡々…」
チクッと刺さる何か。胸の奥で何かが騒いだ。