【アスパラガス】 第五話
「くたばれ! アスパラー!」
鈍い音とともに腹に鋭い痛みが走る。
声を上げようとしても出るのは
「アスパラ… アスパラ‥」
だけだった。
私の肉体から出た緑色の液体が地面をつたる。
社長が緑色で汚れた剣を自身の目の前に構える。
- 私と社長の関係が崩れたのはいつだったのだろうか -
私と社長(本名 剛)は小学校と中学校は同じで学校では有名な仲だった。
そして偶然、就職した会社の社長が剛だったのだ。
最初は運命かと思った。
しかし、剛は昔とは性格が違っていた。
意見は全く合わず、いつも火花を散らしていた。
何回も辞めようとしたが、剛は許してくれなかった。
一体剛に何があったのだろうか…
全身に斬撃が走る。目がかすんでくる。
だが、攻撃を一切やめようとしない。
力のこもった一撃が肩に刺さった。
全身の力が抜ける。地面に体がぶつかるのを体感した。
周りから聞こえるのは悲鳴だった。
「この青い目を見てください‼ 課長ですよ!」
田中君の焦った声が聞こえたと思った瞬間、意識が飛んだ。
意識が飛ぶ瞬間、私は見てしまった。社長のバッグに大量のアスパラガスが入っていたのを。
>>10【アスパラガス】 第一章 完
(書き忘れた)