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その後、馬車駅付随の宿屋に着いた私たちは早めに夕食を済ませた後、各自部屋で休むことにして今日は解散した。そして解散後、私は3人には気づかれないよう、馬車駅を発ったのである。目指す先は『人が一切来ないような所』だ。これから来るであろう暗殺者共をそこまで誘導し誰にも気づかれないように、こっそりと対処するつもりである。結局、思い付いた策はこれだった。
さて、どのレベルの奴が来るのか……。場合によっては即死もあり得る。20分ほど歩くとちょうど良い森を見つけたので、その森へ入った。
……。
森に入ってからさらに1時間が経った。どうやら、お待ちかねのお客さんがやって来たようである。10人前後で現れ、私を取り囲んだ。
「やっと見つけたぞ! 息子を返せ! ここでころしてやる」
1人がそう叫んだ。その者は背中に白い翼が生えており、そして頭の上にはこのものが『天使』であることの最大の証明となる『天使の輪』がある。
他の者も同じだ。
「そうか……。息子さんは死んでしまったのかね? なら、会わせてやるよ」
私はそう言った。そして、
「私をころしたいようだがどうやら君たちは、下級天使ではないか」
と、続けた。
先程はどんなレベルの奴が来るのかまでは判らなかったが、実際にやって来たのは『下級天使』であった。これは『天使の輪』の色で判別できるのだが、少なくともここに来た奴ら全員の『天使の輪』は、『紫色』に光っているので下級天使である(尚、天使の輪はその力に応じて変色するらしい)。
そして下級天使ごときであれば10名ほど居ようとも、私は楽に倒すことが出来る。