「ふ、二人とも、やるの?」
しばらく俯いていた桜奈ちゃんは、顔をあげてそう言った。
「私はね。せっかく誘われたんだから、やって見るのもいいと思うし」
「誘った私がやらないわけないじゃん!」
私とくーちゃんは当然のようにそう答える。
桜奈ちゃんはしばらく悩んでいる素振りを見せ、やがて決意をしたように私とくーちゃんの顔を見た。
「二人が、やるなら……やろうかな。
……私、変わりたいし」
最後の方は小さな声でよく聞こえなかったけれど、とにかく桜奈ちゃんの説得も完了!
「……土曜日か。
よし、今週の土曜日に事務所に殴り込みに行こう!」
オーディションの日を確認して、なんとなく冗談を言ってみる。
「殴り込みって……バカじゃないの? オーディションに行くんでしょ?」
「てへぺろ」
私のその冗談に、くーちゃんが呆れたように突っ込む。
私は、口調は強いけど何だかんだ突っ込んでくれるくーちゃんのこういう所が好きだ。
「じゃ、受かるように頑張ろうね!」
「……もちろん」
「う、うん!」
私たち三人は顔を合わせて微笑む。
……きっと、私たち三人なら絶対受かるよね!