「あっ凛条さん、やっぱりペットに異動してくれないかな」
世界から色が消えた。
《ブル部魂!》
凜条 千図(りんじょうちず)、ピカピカの中学一年生。
私立H大学附属新倉(にいくら)中学校に、そこそこの倍率の受験を乗り越えて入学した。
同じ小学校からこの中学校に進学した人はいない。
少しばかり心細かったけれども、そんなことは杞憂に終わった。
一年生を迎える会、略して一迎会いちげいかいでの部活動紹介で、心を奪われたから。
アンサンブル部――
ノリの良さそうな、意外なことに男の部長さんの説明。
「活動していくなかで、楽器の個性を知ることができる。なんだろう、友達?相棒?……とにかく、一生の相手になるはずです」
そのときは…ああ、良くあるセリフだな、と思った。
どの部活も、そういう綺麗なことを大袈裟に言って。
……でもそれは、三年生にとっては大切なメッセージ。
それをより教えてくれたのは、その次の演奏だった。
曲名なんて、演奏が始まった瞬間に忘れたよ。
一つ一つが合わさって、まさに一音入魂!って感じで。
少人数編成だからか、すごくまとまりがあった。
いいなあ。この部活。
カッコいい。わたしも、一生の相手…楽器と、出会えるかな。
こんな演奏、できるかな――
>>10-11の小説です
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