『余り物でごめんね』
席替えをした。
班のメンバーは変えずに、席順、場所だけの移動。
一番前の真ん中の席が、私のお気に入り。
私たちの班は、誰かが一番前の真ん中の席になれる。
――私、そこがいい。
なんて…言えるはずもなく。
みんな、真ん中の前は嫌って言ってる。
私は?私の希望は?
私なんて、いらないもんね。
邪魔だよね。
班の中で、独りだけ輪の外にいる。
そのくらいは、気づいてた。
……でも、そんなの…気付かないフリしてたって同じだもん。
邪魔だなんて、勝手に思っていればいい。
こんなの、被害妄想だ。イタい奴。
五人班だから、誰かが他の班の人の隣になる。
友達の由美ちゃんが、『純玲(すみれ)ちゃんと伶々愛(れれあ)ちゃんが、ゆずちゃんを一人にするって話してたよ』って教えてくれた。
なによ、一人って。
他の班の人でも、隣になる人がちゃんといる。
……だから、一人じゃないよ。
一人でいいの?大丈夫?って、由美ちゃんは言ってくれた。
……別に良いよ、って返した。
だって、五人班だもん。誰かが余ってしまうのは仕方がない。
……でもさ。
「一番前の真ん中、誰にするかじゃんけんね!」
四人が席を決めているなか、私は、独り突っ立っていた。
……前に、迷惑かけちゃったから。
私の希望なんて、言わない方がいい。
間違ってる。そんなの間違ってる。
知ってるけど、知ってるけど…!
知らないフリしてた方が、都合が良いの。
長谷部くんの、
「かわいそ」
って声が聞こえた。
私に対してじゃ、ないよね…?
学級委員に、かわいそうな人認定されるなんて。
「ゆずなちゃん、そこ。後ろ、理雄(りお)くんの隣」
伶々愛ちゃんの、決めつけるような声。
いや……完全なる決めつけ。
良いよ。良いんだよ。
――本当は、前が良かったけど…。
視界がぐにゃっと歪んだ。
下唇を嫌と言うほど噛み締めて、下を向き続けた。
「……ごめんね」
聞こえたかは分からない。
別に、聞こえてなくてもいい。
「余り物が隣で、ごめんね」
者ですらない。
私はクラスの、
余 り 物
>>8の小説の元です
http://otameshipost.gonna.jp/novels_original/novels_original.cgi?mode=view&no=12&id=6361215