そこは、アルフの自室だった。
欲しい物は、ない。
いわなくても生まれたときからなんでも望み通り。パパは魔法使いのように、なんでも出してくれたから。
でも欲しい者はいる。
一通も手紙をよこしてこないお母さん。
誕生日だというのに連絡も全くいれないお母さん。
ほしい。
今すぐほしい。
苦い。心が苦い。
どうして、どうしてここに来ないのお母さん。
どうして男のひとと出ていくの?
あんな若い人、しらないよー……。
コンコン
扉の向こうから、ノックしてくる。
「誰……?」
アルフは聞いた。
一瞬、頭を過った。あの人が。
「もしかして、お母さん!?」
こっちから扉を開ける。
そこにたっていたのはアルフ専属執事の染井野新だった。
「お嬢様。17のお誕生日、おめでとうございます。
誕生日パーティーは6時開催でよろしいでしょうか?」
真顔で聞いてくる新に、イラだった。
「新、お嬢様っていわはらんといて。年一個しか違わへんやないの。
それに、
幼なじみですやろ!!??」