1日常(キジ)
今日は目覚ましが鳴る前に目が覚めた。時計を見るとまだ4時30分だ。
「もう一度寝るか」
そう考えて再び目を閉じた。が、中々眠ることができない。
右へ左へ寝返りをうち続けると、とろんとようやく瞼が重くなってきた。
__その時だった。
突然自分の身体が動かなくなったのである。
動かせるのは視線だけで声を出そうにも出すことができない。
耳鳴りも酷くなってきた頃、
トットットットットットッ
ダレカが軽快なリズムで階段を登る音が聞こえた。
その音は自分の部屋の前でピタリと止まりどうしたのだろうと疑問を抱く刹那ドアがガチャっと開く音がした。
入ってきた
荒くなる自分の呼吸を必死に抑え固く目をつぶった。
ふと自分の胸の上にかすかな重みを感じた。眉間あたりが嫌にぞわぞわする。
自分の身体の上にダレカが乗っているのだ。
そう分かった瞬間今までクッションのような軽さであったダレカが急激に重くなるのを感じた。
僕はあまりの恐怖と胸の苦しみで気を失ってしまった。
リリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ
6時30分に設定したはずの目覚まし時計が6時40分に鳴る頃、僕は目を覚ました。
全身が汗と涙でグッチョリしていて凄く気持ちが悪かった。
とりあえず目覚まし時計を止めようとスイッチを押したがアラームは止まる事なく鳴り続ける。
ヒュッと息を飲み冷静に止める方法を考えた末、電池を抜く事にした。
電池を抜くと時計は死んだように鳴るのを辞めて秒針の音も聞こえなくなった。
「ケン、早く食べないと遅刻するよ!」
下で僕を急かしている母さんの声がする。
僕は深く深呼吸をしてさっきダレカが通った階段を降りて行った。