目の端で、美しい銀糸の髪がさらりと揺れた。
「ほう.....。貴様、私が誰だか分かっているのか?」
ええ、存じております。
大人気乙女ゲーム『君だけの僕』の登場人物で、
メインヒーロー『カイラ=キャンベル』様。
....でも、人気投票では俺様婚約者キャラに
大差をつけられ負けてるの。
なんて言えるはずもなく....
「すみません。恥ずかしながら、貴方の事は
おろか此処がどこなのかすら分かりません。」
うわぁコイツ絶対キレるよ、君僕じゃあ説教長いキャラだったなぁ、やだなぁ....と思いつつ
ちらりとカイラ様の方を見やると、
「.......だろうな」
という予想外の声が。
「えっ?」
「奇妙な光と共に、いきなり俺のベッドに
出現したからな、お前。
え。私、そんな登場だったの?
「妾どうのに乗ってくるなら、煩い『アイツら』の送ってきた女だと判断できるんだが....そうでもないらしい」
髪をわしゃわしゃと掻きむしり、黄色の双眼が
困ったように私を見た。
「俺には判断がつかない....質問を変えよう。
お前は誰だ?」