私がヒロインだけど、彼氏だけを愛します!

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4:はんかち:2018/07/29(日) 15:19

混乱が収まらず、目の前のカイラ様をまともに
見ることもできない。

「妙な光とともにいきなり現れた」

カイラ様は、確かにそう言った。
でも『君だけの僕』でヒロインとなる
アリス=ファディアは、トリップ少女でも転生者でもない、最初からこの世界にいる少女。

カイラ様とも、16歳の春に
城に招かれた時に初めて出会うのだ。


それがどうだ....私は、カイラ様のベッドに
謎の光とともにいきなり現れた、完成なる不審者。
しかし見た目は、キャンベル王国でも
1、2を争う名家であるファディア家の長女、
アリス=ファディアそのもの。

いきなり王子の自室に謎エフェクト付きで登場した公爵令嬢(初対面)

うん、普通に私、不審者。


「ええっと、その、カイラ様...」
「何だ」
「私、本当に、そんな謎の光とともに登場するようや真似してました....?」
「あぁ。」

自信満々にうなずくカイラ様。
冷たさを感じる黄色の瞳が、興奮できらきらと年相応に輝いていた。

「すごかったぞ。
俺がそろそろ眠ろうと寝台に手をやった瞬間に、
視界が眩い光に奪われたんだ。
意味がわからなくて、目をつぶって耐えていたら
....間抜け面のお前がいた」


魔法系ラノベのヒロインのような登場だった。
聞いてて乾いた笑いすら漏れてしまう。

「....ふふ」
「なんだ?」

もう駄目だ。
そもそも私が本当にアリス=ファディアなのかもわからない。

顔が同じだけの別人じゃないのか。
登場から何から何まで違い、少女の中にいるのは
アリスではなく私だ。


「それより質問に答えろ娘、お前は誰なんだ」


最初よりやや苛立った声で、カイラ様が私に話しかけた。
そんなこと、分からないですよ。

相変わらずぐちゃぐちゃな頭に、愛しい恋人の顔が浮かんだ気がした。


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