ルナ

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧
3:ミルフィーユ:2018/08/06(月) 09:42


「リタ、そろそろ片付け始めよっか」
「あれ、もうそんな時間……?やばい!!」

食いかけの餅を置いて、慌てて叫ぶ。「みんな、A組戻ってくるよ!」

「え、うそ!」
「そっか体育だあああ!!」

みんなが一斉に立ち上がったと同時に、廊下が騒がしくなったのが分かった。うそ、もう帰ってきた!?
とりあえず七輪を外に…でもさっきまで炭火が入れられていた七輪は熱くて、運ぼうにも上手く動かせない。おまけに灰も舞うので、余計に一気には動かせない。

外から、叫び声が聞こえてきた。いつものように移動教室帰りのA組にE組が喧嘩をふっかけて、やっぱりけちょんけちょんにされているんだろう。時間稼ぎありがとう、とはいえ持っても1分くらいだけど。たかが1分、されど1分だよ!粘れE組ぃいい!!
期待を込めて扉を少し開けて廊下を除くと、今日に限って30秒も持たなかったようだ……倒れこむE組の生徒と、何事も無かったかのように悠然とこちらに歩いてくるA組の生徒たちが見えた。

「ああああああああああああもうだめだああああああああああああああこっちきてるよううううううううん」
「おおおえちつけえええリタ!!カーテン!カーテン閉めろ……こないだ燃やしたばっかりだったあああああ」

廊下側の壁はほとんどが窓になっているため、教室の中は廊下から丸見えだ。おまけにこないだ今B組がやってる分子干渉の授業をやったところ教室が半焼してカーテンも灰になったため、A組の目を塞ぐ手段が無い。
この惨状がA組に見られたら……私の頭の中を、生徒指導、ペナルティ、退学の文字がぐるぐると駆け回る……


「!そうだ、灰を……灰をA組の目に!」
「だから落ち着けっつってんだろうがあああああああ」

全員半泣き、灰は舞うし七輪は熱いしで阿鼻叫喚の地獄絵図である。中には錯乱して死んだふりを始める奴もいる。
A組の先頭の影が見えた。誰もがもうだめだ、と誰もが諦めた時だ。


「……デリート」

一瞬にして、教室の濁りが消えたのがわかった。

教室内で泣き暴れていた私たちを、A組の生徒達は動物園のゲテモノコーナーを見る目を向けながら歩いていく。でも、それだけだ。
慌てて周りを見ると、置きっぱなしの餅だとか、七輪とかまで消えていた……こ、これはまさか!!

「てぃ、ティーチャァあああああ!!!!」

そうだ!そういえばこの人分子干渉のプロだったあああああ!!!!!!
「解除」と言うだけで元どおり、粒子から七輪やらなんやらが再構築される。
神を見つけた思いで先生を見つめると、呆れたようなため息が帰ってきた。

「お前ら仮にも魔法学校の生徒なんだからよ。魔法でなんとかしようとは思わねえのか」


全部 <前100 次100> キーワード
名前 メモ