「……さすがに、手ぶらはキツいね」
まさか、森に迷い込むとは思ってもいなかった。いつの間にか周りは暗くなっていて、何も見えない。お腹はすいたし、喉もかわいた。水は湧き水があるからどうにかなるとして、食料。あと寝床。あ、替えの服も欲しかったかも。
「ま、こういうのもアリかな」
色々とハードモードだけど、家でダラダラしてた時よりは刺激があって楽しいかな、うん。もしこのまま餓死したりしても、それはそれでいいんじゃない?
そんなことを思いながら、あたしはひたすら前に進む。力尽きるまで、進むつもり。もしかしたらここから抜け出せるかもしれないし、あるいは何か面白いことがあるかもしれない。
「……あ」
あたしは、目の前が少しだけ明るくなっていることに気付く。それから、前を進めば進むほど明るくなって、暫く歩いた時にそれは光だと確信した。……ということは。
「この先に、何かあるかも?」
気がつけばそう確信していて、その“何か”を見つけるために、あたしは動かなくなってきた足を引っ張りながら、まだまだ前進していく……。