治安官はスピード違反の車を発見する。それもとんでもないスピードで走っていた。
捕まえてみると、その男、本庄 楓は言った。
「以前住んでいた火星では、速度制限などないんですよ」
しかし速度制限機まで外しているとは!手の込んだ奴だ。
「本庄さん、貴方は今、自分が火星の家のベッドの上で、ドラッグを
やりながら、地球で車を走らせてるとでも、思っているんですか?ここは地球ですよ。
貴方の行為は、極めて危険です」
「いや、そんな事は思っていない。私は地球にいる。しかし、これを見てくれ。この世界は、何か少し変だ。
かかりつけの精神科医を呼んでくれないか」
そう言う本庄が、ダッシュボードに手を伸ばすと、ダッシュボードは変形し、彼の手はめり込んだ。
彼の周囲は、彼の意思のままに変形するのだ!
治安官は思った。こいつはもしかすると、現実改変能力を発揮させる、ヤバいドラッグの中毒者じゃないのか?
だったら、早い所、その精神科医とやらに引き渡した方が良い。