【第2章】
昇降口には、新品の真っ黒な制服を着た一年生でこみ合っていた。なるべく邪魔にならないように
なんとかクラス分け表を確認できた。1年B組だ。
「あ、○○ちゃん!そよ高でもよろしく〜」
「もちろん!クラス一緒に見に行こ!」
耳に入ってくるそんな会話が羨ましい、と思いながら1年B組へ向かう。
ガラッと扉を開ける。想像したより静かだった。まだグループができていないからか。
(えっと、自分の席は…)
黒板に貼ってある座席表から『彩崎』を探す。
(青木って人の後ろか。)
中学でも毎年、出席番号は1番か2番だ。
席がの方になることくらい予想済み。
(…前、男子か。)
席に着き、青木という知らない男子の、自分より大きい背中を見て小さくため息をつく。
(私は、男子が苦手だ。)
その理由は、………
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中学のころは女子校に通っていた。
高校もそのままその学校に通おうと思っていたのだが、親の転勤のせいで受験し、少し遠めの学校に通わざるを得なかった。
女子校をもちろん受けたが、落ちてしまった。
なのでOGである母親の高校を受け、そよ風学園に通うことになったのだ。
そんなこんなしている間に、ホームルームが始まっていた。
担任の先生は前田先生という若い女の人だった。髪を後ろで一つにきっちりとまとめている。
前田先生が軽く話をしたあと、出席番号順でならんで体育館に向かった。
これから入学式。私たち一年生がするのは校長先生の話をおとなしく聞き、うろ覚えの校歌を歌うだけだ。
出席番号が若い私にとって辛いのは、真ん前にステージがあるので正直つまらないことだ。
そしてぼーっとしていると、起立するのが遅れ、後ろの人に少し笑われた。恥ずかしい。
そして何事もなく入学式は終わった。
これから教室に戻って自己紹介だっけ。
自己紹介で第一印象がつくといっても過言ではない。上手くできるか不安だ。
「彩崎 奈月です。中学は女子校で手芸部でした。あと、猫を飼ってます。よろしくお願いします」
なんとか当たり障りのない自己紹介ができたと思う。
しっかりと礼をして、パチパチと拍手をもらえた。
3番、4番と自己紹介はどんどん続いていく。
(あ、隣の席の子だ)
隣の席に座っていた女の子が立ち上がる。
揺れるツインテールが彼女にすごく似合っている。
「佐野 千依麻です!中学ではさのちーって呼ばれてて、部活はバレー部でした!よろしくお願いします!」
その子…佐野さんがパッと笑顔になる。元気でいい子そうだ。
(隣の席だし、友達になれたらいいな…。)
>>8の
「その理由は、………」
の意味は、あとで明かされる的な感じです…
紛らわしくてごめんなさい