(1)
「転校生を紹介する。川上奈緒さんだ」
担任の先生が私を紹介した。
教室の女子生徒全員が私のことを見つめる。
「よろしくお願いします!!」
元気よく挨拶した。
その瞬間。
さっきまでザワザワと、にぎやかな
教室がシーンと静まりかえった。
うわ・・・・・。やっちゃった?
クスクスクスと静かな笑い声が聞こえる。
「え・・・・・・・・」
私の挨拶に誰も反応しないので
きっと失笑されたのではないかな?
「みんな、拍手」
先生がそれをフォローするかのよう
にみんなに拍手を促した。
そうすると、まばらだがパチパチと
拍手が起こった。
あれ?
なんだか、みんな嬉しくなさそう。
もしかして歓迎されてない?
そんなの気のせいだよね……。
「川上さんは親の仕事の都合で
転入してきました。みなさん
仲良くしてあげてくださいね」