(2)
キーンコーン・カーンコーン
チャイムが鳴った。
それと同時に先生が来た。
一時限目は数学の授業だ。
先生は、いかにも数学教師って
感じがする中年の男性教師だった。
先生は出席を取ったあと
「問題出すから解いてみろ」と
いきなり黒板に問題を書き始めた。
いきなりかよ……。
「難しいが良く考えれば解けるはずだ。
お前らは選抜クラスなんだ。これくらいは
解けるようになっておけ」
そう、このクラスは二年生の成績上位者
だけを集めた選抜クラスなんだ。
私は転校する前の学校で成績トップだったから
このクラスに入ることができた。
て、今朝、校長先生が言っていた。
「解答時間は15分!」
と先生が言ったので
問題を解き始めた。
私は無言でシャーペンを走らす。
夢中になっていると15分なんて
あっという間だった。
「誰か解けたやついるか?」
先生の問いに反応する人はいなかった。
手をあげようかな?
私は恐る恐る手をあげた。
自信はないけど一応解けた。
「おっ。お前、たしか転校生だったな?
できたか? 前に出て答え書いてみろ」
「はい!」
前に出て、黒板にスラスラと解答を書く。
「できました」
「よし、正解だ」
即行、正解って言われた。
「よく勉強しているな」
先生に褒められた。嬉しい。
とてもいい気分で、席に戻ると
隣の席の未南と目が合った。
未南は嬉しそうに、ほほ笑んでくれた。
私も同じように笑い返した。
(3)
終了のチャイムが鳴る。
一時限目が終了して休憩時間になった。
さっそく、未南に話しかけようとした時。
「あなた、スーパールーキー川上奈緒でしょ?」
「はっ、はい」
不意に誰かから声をかけられ、慌てて返事をした。
「やっぱりそうだ。テレビで見たことある。
女子の高校バスケ界じゃ、ちょっとした有名人だよね」
「有名だなんて、そんなぁ……」
そうそう。そうなんだ。
私はスーパールーキーの異名を持ってる。有名人かな?
なんか、私のこと知ってる子がクラスにいた。
「私は柄谷央弥(からたに おうみ)。私たち友達にならない?
あっちに私の友達がいるから。あっちで一緒に話そうよ」
央弥ちゃんはショートカットでよくしゃべる活発そうな子だ。
うん。大歓迎だよ、私も友達になりたい。
「え! いいよ! 未南も一緒に行こう!」
未南に声をかけた。
「未南は来なくていいよ」
しかし、未南の返事を聞く間もなく
なぜか央弥ちゃんに拒否られた。
「なんで未南は来ちゃダメなの?」
「私、未南のこと嫌いだから」
「ええ? なんで?」
「その子いじめられてるから一緒にいない方がいいよ」
央弥ちゃんは小さな声でポツリと言った。
「はっ? いじめ? どういうこと?」
私が、そう聞き返すと
「チッ」
央弥ちゃんは急に険しい表情になり舌打ちをした。
あれ? 怒った? と思ったら……。
「はじめまして、川上さん」
私はその声に振り返る。
超美人でスタイル抜群な子に声をかけられた。
この子は誰だろう?