朝 どうしようもないくらいの朝
優理は煩くなり続ける携帯のアラームを切りながら
「おはよう やかましいアラームちゃん」
携帯を睨みつける
「おはよう 優理。パン?ご飯?」
1つに結んだ長くとも短くともない美しい髪を揺らしながら母が尋ねる。
「え〜と、 まだいちちょこ残ってる?」
いちちょことは優理愛用のパンのお供。いちごとチョコのバランスの良さで人気。
「残ってるけどこれで最後かも。仕事帰りに買っとくね。」
「やった!最後だから存分に使える〜!」
洗面所からセットされた歯ブラシを慣れた手つきでとる
「それはいいとしてもう7時半だよ。8時までに間に合うの?前 生徒指導の先生に言われたんじゃなかったの?」
スマホをいじり 歯を磨きながら うーい と噛み合わない返事を返した
(学校と家同じ地域にあるから楽勝なんだよね〜)
松本一家は池袋の某マンションに住んでいる。
優理の学校も池袋の高校のため 徒歩でも20分で着くことができる。
いってきまーーーす
駐輪場に置いた愛用の自転車を漕ぐ。 まだ完全に醒めない脳みそにダイレクトに風が伝わる。平坦な道を進むには自転車が最適なのだ。
(あ、角に誰かいる。避けないと...)
もう角を曲がるというところで現れた影をすんでのところで避けた
つもりだった