バン!!!
眩い光と共に轟音が轟く。
光が解けたときにはフランス人形は居なくなっていた
「優理!? 段差で怪我したみたいだけど?ついさっき自転車で出て行ったと思ったんだけど、おかしいわね...」
優しい母の声がする。反射的に顔がほころぶ。
「え、いや、ちょっとね...。 ん?ついさっき?」
「うん。ついさっき。出たのが40分で、今は、えと、43分だよ。」
(嘘だ、体感的には30分くらいは逃げ回っていたはずで)
実際、直接家に走れば3分もかからないのだが、混乱して逃げ回った結果、30分とは言わずとも15分は奴らから逃げた筈だ。
(階段で転んだ?やっぱり、夢だったのかなあ? なんか、理由説明するのもめんどくさいし、心配かけられないし、言わないでおこう)
「いや、ちょっとこけちゃって、へへ。けが、大したことないから。絆創膏持ってるから、大丈夫だよ!じゃあね!」
母の返事を待たずして、駐輪場に置いてある自転車を...
ない。ない、ないないない!!
優理は角まで走った。
そこには、愛用しているチャリボーイ(アダ名)が横たわっていた。
つい先程の出来事が頭をめぐる。そこにあった自転車が、先程の出来事を現実だと訴えていた。