【あの日と美容院1】
[…次のニュースです、あの学校集団自さつから1年、未だに事件だと訴え続ける保護者のメッセージを…]
まだ薄暗い休日の朝、一人台所の椅子に座り、朝食のミルクティーと食パンを食べつつテレビを見ていると、とあるニュースが流れた
「…ああ、もう1年かぁ」
ぼそり、と呟きミルクティーを飲む、一年前は本当に世間が騒いだ事件だつたが、今では節目に一回流れるくらいである
「…親も諦めれば良いのに」
こんな心ない言葉が出てしまうのは、自さつした人間があいつらだからだろう
「あー、今日は美容院だった…早く食べなきゃ」
欠片となったパンを口に入れ、そのままミルクティーで流し込む
すでに着替えは終わっている、いつもの赤いパーカーとジーンズ、今日は髪の毛をいじっていないのでストレートのままだ
財布を持ち、玄関から出ると、愛用の自転車に乗り、ペダルを踏んだ
〜〜
「あら、ちょっと早かったわね、いらっしゃい!」
扉を開けると、女口調の男性が出迎えてくれる、彼はこの美容院の店長で、たった一人で店を経営しているらしい
「ああ、お久しぶりです…今回もいつものでお願いします」
俺は少し気が緩んだ笑顔で答える
「あら、まだそんなに黒くなってないわよ?良いの?」
「良いですよ、こまめに来てくれたほうが店長さんも色々嬉しいと思って?」
と冗談混じりで言うと店長はやれやれと言った顔、しかし声は笑っていて
「貴方に心配されなくても充分やっていけるわよ」
と返す、こんな感じでゆるい雰囲気が好きで、俺は常連として定期的に通ってる
「じゃ、いつも通りささっと染めちゃうから座って座って!あ、結構伸びてるみたいだからついでに整えてあげるわ」
俺は言われるがままに椅子に座った
[今日は遅いのでここまで]