「はじめまして…」
消えそうな細い声が僕を包んだ。
それなのにその声は記憶に刻まれた。
物凄いスピードで。
物凄い正確に。
「はじめまして」
たった一言返した。
突然転校してきた蒼井舞月梨。
みんななんて読むかわからなかったらしいが、僕はすぐにわかった。
まつり。
珍しい名前だな、なんて言ったらお前が言うな。そう言われてしまった。
それも当然だ。僕の名前は結城釃夢璢。
りむる。
親は何も考えずにつけたらしい。もう一つの名前の候補は露夢璢(ろむる)だったらしい。
舞月梨は椅子に座り先生の話を聞いていた。
その姿をどこかで見たことがある気がした。