起きると保健室にいた。
体を起こし辺りを見ると誰かが保健室を出ようとしていた。
「待って」
その誰かは大和だった。
大和は振り向き僕に向かって頭を下げた。
「ごめん。ほんっっっとにごめん。ボール取られないようにって、それしか考えずに蹴った。ごめん。」
「別に…気にしてないし。」
「よかった」
そう言って大和は保健室を出た。
気にしてないわけない。むしろ大和のことを恨んでいる。
ベッドの隣の机に割れた眼鏡が置いてある。
眼鏡まで割りやがって。
めちゃくちゃ痛えんだよ僕は。
それでも嘘を憑いたのは、自分が弱いからだけど。
「痛っ…」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
ベッドを降りて隣のベッドのカーテンを開ける。
「やっぱり舞月梨じゃん。」