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正義の味方(ヒーロー)になりたいって言ったら、無理だって一蹴された。
小学校での、形ばかりの進路希望調査に書いた将来の夢。もう少しで手が届く、そう思った矢先に私の足は震え出した。
中学三年生の夏。一人でこっそりと書いた七夕の短冊をポケットに忍ばせて、塾の夏期講座へ行った。
正義の味方になりたい、だなんて夢は叶えられないのだともう知っていた。
正義の味方になれる職業ってなんだろう。そう考えながらカバンをギュッと握りしめ、塾を出て家まで歩いていたその時だった。
「守りたいものがあるの?」
その人は唐突にそう言った。