(>>16のつづき)
「あっ、そうです。ジョン・ケニーと言います。よろしく」
と言って、ケニーは彼の肩を叩いて、奥の方へ行った。彼は叩かれた肩に手を置いて、奥の方をまじまじと見ていた。
その後、何度かケニーとマッケインは私的に会うようになった。話す内容は殆どが悪口だ。ケニーも、もしかしたら署長の無茶振りに悩まされていたのかもしれないなと、マッケインは思った。だから、仕事の話も、必要最小限しかしなかった。
そして、犯行当日。二人はフーヴァー議員の乗るタクシーを待ち続けていた。それも真夜中である。また、真夜中である。
「なあケニー、こうしてみると俺たちが犯人みたいだな」
マッケインは互いの服装を見ながら言った。二人とも暗闇に紛れるように地味な服装にしているが、かえって違和感しかない。
「どっちかというと変質者……かな」
とケニーが言った。確かにこんな真夜中に路上でコソコソしている男二人組などロクなものではあるまい。