1、
「間に合ったーー」
バスに飛び乗る。
「七瀬、遅かったね」
と同級生達が身を乗り出した。
バスは、私を待っていたかのように、乗った瞬間に扉を閉め、出発する。
部活の時間。
美術部に所属する私はいつもと同じように紙に鉛筆を走らせる。
ふと周りを見回すと、同じく美術部の佑希とみなみが
デッサンの為に置いてある白菜やらなんやらで遊んでいた。
思わず頬が緩んだ。
沙友理も美彩も美月も、みんな笑っている。
絵を描くのは昔から好きで、それが理由で美術部に入った。
今では、こうやってみんなでワイワイしながら絵を描ける、
この美術部が大好きだ。
ひとしきり笑った後、私はまた紙に向き合い、鉛筆を走らせる。