家賃1000万、六畳一間

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3:七光ドエススキートフ◆gU ホィ(ノ゚∀゚)ノ ⌒dice6:2019/08/21(水) 23:58

俺は筒中 色之助(つつなか いろのすけ)、19歳。
第一志望だった赤山学院の法学部に合格し、今年で大学生一年生となった。
夏休みも終わり、二学期からも頑張って学んでいこうと気合を入れた日のことだ。

「筒中君、出席日数足りてないよ? これじゃあいくら試験の成績やレポートが良くても、奨学金特待生からは外すしかないねぇ」
「そんなぁ……! 教授、そこをなんとか……っ」
「過去に戻って出席でもしない限り無理だね。まぁ退学じゃないだけマシだろう」

ラジオ体操の柔軟運動のように、腰を90度曲げて頭を下げた。
が、脂ぎったデブ教授は淡々とした声で断った。

「とにかく、今学期からの奨学金は無しだからね」
「ゔぅ……」

退学じゃないだけマシだと教授は言ったが、俺にとって奨学金の打ち切り=退学を意味する。
俺は月々の家賃を払うのも精一杯で、ましてや私立大学の学費なんて払えるわけがない。
この大学には貸与型の奨学金もあるが、利子が結構つく上に返済期間が短い。


大学を後にして、近くの河原をとぼとぼ石を蹴りながら歩く。
夕焼けが草木を飴色に照らした。
このままだと大学に行けない、つまり就職困難、借金も返済できない──。

「そもそも、あいつがいけないんだ……」

東塚 浦之助(ひがしづか うらのすけ)。
俺の父親──だと言われている男。

この男が母さんを連帯保証人ににして1000万もの借金をしたからだ。
家賃や光熱費、借金のためにバイトを掛け持ちした結果、出席日数が足りなくなった。

あぁ、クソ、いつか絶対見つけて復讐してやる。
後で分かったことだが、その男は妻を殺害して逃亡中の身だったらしい。
現在でも行方は分かっていない。

母さんがこんな男と結婚しなくてほんと良かった。
もしあのまま一緒にいれば、殺されていたのは母さんだったかもしれない。
それに母さんは名前が静(しずか)だから、東塚 静(ひがしづか しずか)って変な名前になるし……。

お金に余裕が出来たら、ダメ元で探偵とかにも依頼してみよう。
実の兄がいるとも話を聞いていたし、ついでにその実兄にも会いたい。
とにかく今はお金が必要だ。


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