_彼女が奏でるハーモニーには、深い深い秘密があった。
彼女自身も知らない、力の秘密が。
この力は、世界を、この世を動かす重要な鍵となる___
まだちょっとだけ冷たい、なったばかりの、春。
遥香は、とんでもない音の目覚まし時計でも聞いたかのように、朝早くに飛び起きた。
まだ、お母さんもお父さんも夢の中の世界にいる。
(なんか、すごい朝早くに起きちゃった。・・・そうとなれば、ピアノの練習だ!!
まだ学校に行くまでに時間があるし・・・やったー!)
白とは言えない、少し色あせたクローゼットの中から紺色のジャケット、白いシャツ、赤いチェックのスカートを取り出した。
(まだダボダボ。でも、2年後にはこの制服、ぴったりになっているのかな。)
遥香はそんなことを考えながら、着替えを済ませると、両親に気づかれないように、
忍び足差し足で階段を降りた。この時遥香の胸の中は、ワクワクが止まらなかった。
すごく大好きで、下手したら世界一好きなピアノを朝早くから弾けるのだから。